投資情報会社・フィスコが、株式市場の7月10日~7月14日の動きを振り返りつつ、7月18日~7月21日の相場見通しを解説する。
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先週の日経平均は2.84円高の32391.26円で終え、ほぼ横ばい。週初は上場投資信託(ETF)の分配金捻出のための売り需要が警戒された。その後は為替の円高が進行するなか、冴えない展開が続き、一時は約1カ月ぶりとなる32000円割れとなる場面もあった。米国で消費者物価指数(CPI)や卸売物価指数(PPI)が予想を下回り、インフレ収束期待が高まったことは半導体を中心としたハイテク・グロース(成長)株の買いに寄与した。しかし、米金利の大幅な低下に加えて、日本銀行の政策修正への思惑が強まったことで、円高進行が週末まで続いた。週末にかけては7月限オプション取引の特別清算指数(SQ)算出に絡んだ売買で大きく上昇する場面もあったが、円高懸念が上値を抑え、32500円を下回って週を終えた。
今週の東京株式市場は一進一退か。米中の重要経済指標や米国の企業決算など海外発の材料が多い一方、国内は月曜が祝日休場となるほか、企業決算も少なく、海外市場を睨んだ動きとなりそうだ。米国の物価指標が軒並み予想を下回ったことでインフレ収束期待が高まっている。米金利が大幅に低下してきたことで、米国でハイテク株買いが復活していることは日本株のサポート要因となろう。
一方、米追加利上げ観測の後退と日本銀行の政策修正観測の高まりを背景に為替の円高・ドル安が一段と進んでいる。国内では半導体関連株の強さは続いているが、円高懸念もありハイテク株が広く買われる動きは見られにくくなっている。今週は半導体受託製造の最大手である台湾積体電路製造(TSMC)が20日に決算を予定している。月次売上動向で業績については概ね織り込み済みとは思われるが、生成AI(人工知能)向けの需要動向や市況の先行きについての経営陣のコメントに注目だ。相場を下支えしている半導体関連株のトレンドが続くか否かを占う上で重要なイベントであり、週後半に相場の様相が変わる可能性があり注意したい。
ほか、米銀行決算にも注目だ。国内連休明けは前週末に発表されたJPモルガン・チェースやシティ・グループの決算を受けた米株市場の動向を反映するほか、18日にはモルガン・スタンレー、バンク・オブ・アメリカの決算もある。人材削減や預金流出を抑え込むための金利引き上げなどを背景にコストがどれ程増加しているかといった点が注目される。インフレに対する懸念が収束しつつある今、市場の関心事項は再び景気に移ってきており、景気動向を敏感に映す銀行の決算次第では相場のムードが大きく変わろう。
引き続き米経済は底堅いといった見方が強まれば景気敏感株やバリュー(割安)株が買われやすくなるだろうが、反対に景気減速懸念が強まるようだと、金利低下を通じてハイテク・グロース(成長)株への買いに動きが偏りそうだ。電気自動車のテスラや動画配信サービスのネットフリックスの決算もバリュー株とグロース株の物色動向を決定づける一つの要因として注目されよう。