CDやDVDなどのレンタル店の閉店が相次いでいる。音楽や動画配信サービスの普及でレンタル業界は苦戦を強いられており、一般社団法人 日本映像ソフト協会の「映像ソフト市場規模及びユーザー動向調査2022」によると、映像ソフト市場におけるレンタル市場の割合は、2007年の3604億円から右肩下がりで、2022年に572億円にまで下がった。実に約15年で84%減少したことになる。
カルチュア・コンビニエンス・クラブ(TSUTAYA)のフランチャイズ加盟会社の中で最大規模のトップカルチャーは、2021年7月に発表した中期経営計画で、2023年10月期までにレンタル事業から撤退することを表明している。同社のレンタル事業の売上高は2011年から2020年までの10年間で35.9%(49.6億円)減少したという。
TSUTAYAの閉店ラッシュは現在進行形で続いており、今まさに“レンタル時代の終焉”を目の当たりにしているのかもしれない。消費者たちはどう受け止めているのだろうか。
5、6年くらいは足を運んでいない
「10年くらい前はまだレンタル店にはよく通っていた気がします。でも、2010年代半ばあたりから動画配信サービスが普及し始めて、足が遠くなりましたね。2020年代に入ると、コロナの巣ごもり需要で復活どころか、とどめをさされたという感じがします」
そう語るのは、IT企業に勤務する30代男性・Aさんだ。実際、前述の「映像ソフト市場規模及びユーザー動向調査2022」を見ると、新型コロナウイルスの感染拡大が始まった2020年のレンタル市場の規模は1041億円だったが、そこから2年で45%減と、猛烈な勢いで減少していることがわかる。Aさんが住む地域のTSUTAYAも閉店してしまい、近所にレンタル店がなくなったという。
「ちょうどコロナ禍のタイミングで、家から一歩も出ることなく動画や音楽を楽しめる配信サービスの利便性が、一気に広まったように思います。ネット回線の充実も大きいですよね。そもそもCDやDVDを借りるよりサブスクを利用した方が、自分の都合で見たり聞いたりできるし、返し忘れもありません。より楽で便利なサブスクに流れるのは自然なことだったように思います」(Aさん)