会場入りしてしまえばどうにかなる
東京ドームレベルの広い会場では、座席交換を繰り返すことで、少しずつ良席に移動していく人もいるという。K-POPコンサートの会場で、現地での座席交換をたびたび目にしているという女性・Bさん(社会人/30代)は、次のように話す。
「たとえば天井席(※天井に近い後方の席)が当たったときに、スタンドの前の方で見たいとします。そしたら、まずは数万円をちらつかせて、スタンド席の若い子にチケット交換を持ちかける。
そこで交渉が成立したら、そのスタンド席のチケットを持って、さらに高い金額をちらつかせ、アリーナ付近とチケット交換を持ちかける……。こうやって繰り返すことで、たとえばバックステージ前や花道のサイド席、メインステージ前などアイドルからファンサ(※ファンサービス)をもらえるような位置に移動していくんです」(Bさん)
このようにお札をちらつかせ、チケット交換を要求する行為は、「札束で殴る」と表現されるという。
「結局、どこの座席でもよいから会場入りしてしまえば、高額の転売チケットを入手しなくてもどうにかなる、と思っているファンがいるんです。こういう行為には決して屈しないでほしいですね」(同前)
会場の中であろうと金銭を介して座席を交換するのは、やはり転売行為と言える。また、座席の名義が登録されているケースで、自分名義の座席で他人が迷惑行為をした場合、そのとばっちりを受けてブラックリスト入り……などというリスクも懸念される。後ろめたさなくライブを楽しむために、ファン一人ひとりのマナーが問われている。(了)