悪質な不正が発覚したビッグモーター。車の整備費用は、素人にとってわかりにくい側面があるため、マイカー所有者に課せられた車検(自動車検査登録制度)時など、ディーラーや工場に勧められるまま、不要な整備を行なっているケースも少なくない。本来は不要であるはずの部品交換などが積み重なれば、車検整備の費用もふくらみ続ける。
もちろん、「必ず定期的に交換すべき」部品もある。整備士たちが口を揃えたのがブレーキフルード(オイル)の全量交換だ。
「最近は、減速時にフットブレーキに頼るドライバーが多く見受けられます。そうした運転を続けると、油圧式ブレーキのオイルが劣化しやすくなる。水分が混入してオイルが沸騰し、ブレーキが効かなくなる『ベーパーロック現象』を招くのでとても危険です。交換スパンは最低でも車検と同じ2年に1回ですが、個人的にはそれより短くてもいいと思います」(ディーラー系整備士)
信頼できる整備士とは
車に詳しくない素人を相手に「少しでも利益を出そう」と、ただちに必要とは言えない部品の交換や整備を提案してくる業者が存在するのは事実だ。
しかし、車検整備を行なう整備工場側の提案・助言は、その多くが顧客と車の安全を考えてのことであることを忘れてはならない。日本自動車ジャーナリスト協会会員の自動車ライター・萩原文博氏が言う。
「法定点検は、いわば愛車の健康診断です。早期に修理・交換箇所が見つかれば、不測の事態を回避できるうえ、愛車の寿命が延びて、結果的には費用も安く済むはずです」