物価の上昇が止まらない世の中でも家事や育児、仕事や介護は待ってくれない。そんな中で頼りになるのが、国や自治体に申請すれば受け取れる給付金や補助金だ。社会保険労務士の岡佳伸さんがこう語る。
「申請したらもらえる給付金・補助金の中には、出産や子育てに伴うものから夫に先立たれた後の生活を保障するものまで、知っておくと有利で安心なものが多くあります。年齢や所得など要件はさまざまですが、もらえるものは賢くもらって生活の足しにしてほしいです」
まずは給付金や補助金で自分が申請できる対象であるかどうかをチェックしよう。制度の中には門戸が広く開かれているものもあり、思わぬところで「対象」になっている可能性があるのだ。
例えば介護のため休業する際、給料の一部が補てんされる「介護休業給付」は親や配偶者の介護に利用すると思われがちだが、対象はそれに限らない。
「子供や孫など、2親等以内の家族が病気やけが(要介護状態)などで助けが必要になったときにも使えます。対象家族1人につき93日を上限として3回まで分割して使える使い勝手のよい制度です」(岡さん)
「失業保険」の受給期間も延長できる可能性がある。岡さんが語る。
「失業保険の基本手当は仕事をやめてから1年の間でしかもらえないと思っている人が多いですが、病気やけが、介護や妊娠などの理由で働けない日が30日以上続く人は、通常の1年に加えて3年まで延長できます」
逆に、順序を間違えると受給できなくなる給付金もあるため、注意が必要だ。
「仕事をやめる前に再就職先が見つかると、失業保険などを含む『失業等給付』はもらえません。いまは女性のパートも人手不足で探せば探すほどよい条件の職場が見つかるので、退職して給付金をもらいながら再就職先を探すのがベター」(岡さん)