米国株式市場が8月に入り軟調な動きになっている。これは下降トレンドに転換したのか、それとも一時的な調整なのか。個人投資家・投資系YouTuberの森口亮さんによる、シリーズ「まるわかり市況分析」。森口さんが今後の米国相場の展開について考察する。
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米国株式市場の動きが不透明になってきました。代表的な株価指数であるS&P500 と NASDAQ は、7月19日以降の1ヶ月で新たな高値をつけることができず、調整が続いています。テクニカルの視点からは、短期的な売りサインがいくつか出ています。このまま下降トレンドへと転じるのか、それとも上昇トレンドの中の一時的な調整なのか。多くの投資家がその行方を注視していますが、現時点では「上昇トレンド中の調整である可能性が高い」と分析しています。今回は3つの視点からその理由を解説します。
【1】強気相場の兆しと半値戻しの原則
2022年10月から上昇傾向にあった米国株式市場は、2023年2月時点で既に、S&P500やNASDAQが底値から20%以上上昇しています。一般に、20%以上の上昇は強気相場への転換のサインと言われています。
さらに、2023年6月には、2022年10月の安値からの上昇率が50%を超え、コロナラリー後の高値に対して「半値戻し」を達成しています。「半値戻しは全値戻し」というテクニカル分析の原則に基づくと、長期的にはここからさらに上昇の余地があると考えられます。