今夏の暑さは特に厳しく、7月以降は最高気温が37℃以上の“体温超え”を記録する地点も珍しくなかった。2か月に及ぶ「猛暑との闘い」で、電気代や消耗品代などがかさみ、経済的打撃を受けている家庭も多い。フリーライターの吉田みく氏が、関東在住の2人の主婦が直面する現実をリポートする。
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全国的に暑い日が続くなか、さまざまな対策をしながら日々を乗り越える人は多い。総務省消防庁によると、8月7日〜13日までの全国の熱中症による救急搬送人員は7266人だった(速報値)。1万人を超えた前週・前々週からは減少しているものの、8月下旬も高温が続くことから、まだまだ油断はできない。
暑さ対策をすることが熱中症リスクを下げるといわれていることから、多くの人が涼をとるためのグッズを購入したり、エアコンを使用するなどして対策を行っている。しかし、そうした対策にはお金が掛かるのが現実だ。
茨城県在住の専業主婦・カリンさん(仮名、38歳)は、5歳の子供を遊ばせる自宅のビニールプールで使う「水道代」に怯えていた。
「幼稚園が夏休みに入ってからは主に自宅で過ごしていますが、最近は自宅でのプール遊びばかりです。公園の遊具は鉄の部分が熱されて遊べないし、長時間炎天下で活動すると熱中症も心配。使っているのは子供3人ほどが入れる大きさのビニールプールですが、水の量がすごくて……。次回の水道料金の請求が怖くて仕方ないです」(カリンさん、以下同)
水道代がかさむことを心配したカリンさんは、お金を掛けずに涼しく過ごせる近所の児童館で遊ぶことを思い付いたが、思うようにはならなかったとこぼす。
「近所の児童館は、主に未就学児のために開放されています。5歳の我が子も利用することはできますが、実際に児童館に来ているのは0〜2歳の小さな子供ばかり。置かれているおもちゃも赤ちゃん向けが多く、活発に遊ぶ幼稚園児には適していませんでした。スタッフさんからは『小さい子がいるから走らないでね!』と注意されてばかりで……。子供も『もう行きたくない』と言い出す始末です」
結局、この夏は自宅プールで遊ばせるしかないと割り切ったそうだ。「夫にも協力してもらい、夏の間だけお小遣いを2000円少なく渡すことにしました」と、増えることが確実な水道代の捻出は対策済みだという。