高齢期を迎えて考えなければならいのがペットのことだ。大事な家族の一員と思っている人も多いが、自分が先立った後、トラブルになるケースが多い。NPO法人ペットライフネット代表理事の吉本由美子氏が語る。
「遺族のなかで誰が引き取るかの話し合いが上手くまとまらないと、押しつけられた人が家の外へ放逐してしまう場合があります。家のなかで飼われてきた犬や猫は、外で暮らすノウハウがないし、エサを取る方法も知らない。野良となったその先には死が待ち受けています」(以下「 」内同)
自分のペットがこうした悲惨な最期を迎えないためには生前のうちに信頼できる人に譲るという選択肢もある。だが、長年一緒に暮らしてきた家族を残りの短い人生で失うのはやはり寂しいだろう。
自分が死ぬまで飼い続け、その後も安心してペットを預けるにはどうすればいいのか。
「まずは事前によく相談したうえで遺言書にペットの引き取り先を明記することです。それに加えてお世話代を渡すことも記載しておきましょう。犬なら生涯かかるのが300万~500万円、猫なら150万~200万円とされているので、病気になった時のことも考えるとそのくらいの資産を遺せば引き取りをお願いされた側も安心できるでしょう」
万が一、引き取り手が見つからない場合は、地元の動物保護団体を訪ねてみるのもよいだろう。
「生前に『もしもの時は引き取ってください』とお願いすれば受け入れてくれる場合があります。ただし、どこの団体も資金面のやりくりが大変で受け入れが困難なケースが多いので、お世話代を寄付するとよいでしょう」
残された家族のことも考えた生き方をすることが、今後の自身の人生の幸せにも繋がるはずだ。
※週刊ポスト2023年9月1日号