ガソリン価格高騰に岸田政権が右往左往している。資源エネルギー庁が8月23日に公表した全国平均のレギュラーガソリンの小売価格は、14週連続値上げとなる183.7円(1リットルあたり、以下同)。統計が公表されるようになってからの最高値である185.1円に迫る勢いだ。
岸田文雄首相は8月22日、急遽、自民党の萩生田光一政調会長に対応策をまとめるよう指示したが、抜本的な対策は難しい。専門家は、「このままだと年末にかけて200円を突破する可能性がある」と悲観的な見通しを明かす。
ドライバーの懐を直撃するだけではない。ガソリン価格が上がると輸送費も上がり、輸送費が上がると、飲食店のメニュー表や小売店に並ぶ商品の価格も上がる負担増のスパイラルだ。
この急騰の原因は何なのか。経済評論家の加谷珪一氏は「直接の原因は政府の政策です」と指摘する。
「政府は石油元売り会社に対して170円を超えたあたりからを目安に補助金を支給してきましたが、6月からそれを縮小させています。6月に縮小を始め、9月末には終了します」
それならば、あと1か月もすれば補助金縮小による価格上昇が収まり、ひと息つけるのかと思いきや、「年末から来年の年明けに向けてもっと上がる可能性はある」と、加谷氏は悲観的だ。
「ガソリン価格はざっくり2つの要因で決まります。1つは国際的な原油相場の価格で、もう1つは石油の輸入価格に影響するドル円の為替相場です。
原油相場は昨年、ウクライナ危機が始まったばかりのタイミングでは1バレル100ドルを超える水準まで急騰したものの、今年は80ドル台で安定しています。これに対して為替は、このところ円安が進んでいる。この円安がじわじわとガソリン価格を押し上げていくことになるわけです」
しかも、円安がガソリン価格に及ぼす悪影響は、簡単には収束しないというのだ。