「大家さんがあまりネットに詳しくない」
集合住宅の中には、光回線ではなく、ケーブルテレビのネット接続サービスを利用しているものもある。ケーブルテレビのネット接続は、一般的に光回線よりも通信速度は遅い。神奈川県のアパートに住む会社員・Bさん(20代女性)は、まさにケーブルテレビのネット接続サービスを利用中だ。
「実家は光回線で、ネットに不具合を感じたことはありませんでした。でも、ひとり暮らしをすることになって、ケーブルテレビでネット接続をするアパートに引っ越したら、驚くほど回線が不安定なんです。とにかくWi-Fiがすぐに途切れてしまう。回線速度も遅いし、本当にイライラします。ルーターやパソコンのほうに問題があるのかもしれないと思って調べたけど、そちらは異常なしでした」
BさんもAさん同様、光回線の契約を画策。不動産屋に掛け合ってみたが、いい返答は得られなかった。
「大家さんがあまりネットに詳しくないようで、全然話が進まない。長く住むわけでもないし、もう諦めました……。ネット環境がこんな感じだとわかっていれば、このアパートを契約することもなかったと思います」(Bさん)
スマホのテザリングを活用することに
マンションのネット回線が不安定であるがゆえ、別の手段でネットに接続するようになった人もいる。都内のマンションに住むフリーライター・Cさん(40代男性)はこう話す。
「うちのマンションは光回線のVDSL方式です。ほかの住人の利用頻度によるのかもしれませんが、時間帯によってものすごく通信速度が遅くなることがあるんです。動画を観るのも大変な時があるくらい。ネットが繋がりにくいのは、本当に不便です」(Cさん)
そんなCさんは、パソコンをネットに繋げる際は、マンションのネット回線ではなく、スマホのテザリングを活用することも多い。
「最初は、パソコンもスマホもWi-Fiを経由して、マンションの回線でネットに接続していました。でもあまりに不安定なので、スマホはWi-Fiでは使わなくなった。パソコンもスマホのテザリングで繋げることが増えています。そのためにスマホのプランも、通信料無制限のものに変更しました。ネットに繋げられないと仕事もできませんし、仕方ないですね。引っ越しも考えましたが、転居先のネット環境も結局使ってみないとわからない。当分はこのスタイルを続けるしかないですね」(Cさん)
その建物に光回線が引いてあったとしても、建物内の配線の“方式”や利用者の状況によって、通信速度は大きく変わってくる。不動産業者や大家がその状況を詳細まで把握しているかどうかは分からなかったとしても、可能な限り事前にリサーチすることが重要だと言えそうだ。(了)