中古車販売大手・ビッグモーターが保険金不正請求問題などを抱えるなか、取引先の銀行に90億円の借入金を返済したことが8月19日、明らかになった。同社からは借り換えの要請があったが、銀行団が応じなかったという。ビッグモーターの現預金の額からすれば、当面の資金繰りに苦しむ状況ではないとされるが、問題が山積のなか、識者からは今後を懸念する指摘も出ている。
ビッグモーターは返済に先立つ8月10日、3メガバンクや広島銀行と会談の席を持ったが、銀行サイドが融資の継続に難色を示し、90億円の返済に至ったとされる。金融ジャーナリスト・森岡英樹氏が解説する。
「特別調査委員会の報告書でも指摘されていた通り、取締役会が開かれていないなど、企業としてのガバナンスがあまりに杜撰だった。当然ながらそれは銀行側としても融資を継続するうえでのネックになる。
これまでは『正常債権』に区分されていた債務者区分も、『要管理債権』へと引き下げられ、事実上、銀行側からの追加融資もなくなるような状況です。そうなると、今回の90億円と同様に期限を迎えた融資については、返済をしなくてはならなくなる。現状ではビッグモーターに300億円規模の現預金があるということなので、すぐに問題とはならないが、資金繰りがどんどんタイトになっていく懸念があります」
不祥事を受けての事業の再生計画については、7月から大手コンサルティング会社が策定に携わっているという。なんとかして事業再生への道筋をつけることで、銀行サイドの融資についての考えを変えようとしているのだろうか。