今年は任天堂の家庭用ゲーム機『ファミリーコンピュータ』(以下、ファミコン)が発売されてから40周年。そんなメモリアルイヤーには、様々なメディアでファミコン特集が組まれ、“カセットにフーっと息を吹きかけてから、本体に挿した”“カセットに自分の名前が書いてあった”といった“ファミコンあるある”がネタにされる機会も多い。
そんな“ファミコンあるある”の中には、ただ単に懐かしいだけでなく、現在のゲームを遊ぶ際のライフスタイルと大きな違いを示すものもある。たとえば、“カセットの選び方”だ。
令和のテレビゲームでは友達と一緒にプレイする場合、ネットで対戦ということも多い。自室にいながらインターネットを介して友達と音声チャットを楽しみながら、ゲームで対戦したり、協力プレイしたりというのも当然のように行われている。
しかし、1980年代の一般家庭にはネット環境などは存在しておらず、友達と一緒にファミコンをプレイするなら“誰かの家に集まる”というのが基本だった。都内の会社員・Aさん(40代男性)は、自身の小学生時代をこう振り返る。
「小学校の低学年だったころにファミコンが発売されて、大ブームになりました。最初は『◯◯くんがファミコンを買ったらしいぞ』みたいな噂が回って、みんなでその友達の家に行って遊ぶんです。その後、私もファミコンを買ってもらったんですが、近所では結構早いほう。ウチに友だちを集めてファミコンで遊ぶこともよくありました」(Aさん)
子供時代、誕生日やクリスマスなど、特別な時にしかカセットを買ってもらえなかったというAさん。少ないチャンスで失敗しないように、カセット選びは慎重だった。
「当時は、友達同士でカセットの貸し借りをするのが当たり前だったこともあって、極力 “友達が持っていないカセット”を買うようにしていました。友達同士で違うカセットを買って貸し借りしたり、みんなが誰かの家にカセットを持ち寄ってたりしてプレイすれば、より多くの種類のゲームを楽しめますから。友達と相談して、『僕があのカセットを買うから、お前は別のを買って』なんて相談することもありました」(Aさん)
1人でプレイすることを前提としているゲームであっても、友達と楽しむことも多かったという。
「『スーパーマリオブラザーズ』のようなアクションゲームを『上手い!』『惜しい!』なんて言って応援しながら遊んでました。『ドラゴンクエスト』が出たときも最初は、誰かがレベル上げをしているのを後ろからみんなで応援していました。ただ、ドラクエはすぐに大人気になって、結局友達もそれぞれカセットを買っていました。私の周りでは、ドラクエ辺りから、1人でプレイするようになった子も多かったと思います」(Aさん)