老後資金2000万円が移住で底をつく
「中古の別荘を750万円で買い、リフォームをしたのですが、田舎は都会のような公共設備がありません。トイレを簡易水洗から浄化槽にしたり、屋根の修繕、共益施設負担金、バイクを収めるガレージの施工代などに1000万円以上かかりました。400万円くらいかと踏んでいたので、驚きました。
屋根の修繕の際、業者から“これで10年はもちますよ”と言われましたが、つまりそれって再びリフォームが必要ということ。さらにお金がかかるのかと、ちょっと落ち込みました」
女性は60才で年金以外に2000万円の貯金が必要だと聞いていたAさんは、親の遺産と合わせて2000万円を確保していたが、読みが甘かった。移住によって貯金は200万円にまで減った。
「夫は畜産業界に再就職し、私も宿泊施設でパートを始めたので、日々の生活には困りません。けれども8年後に夫が定年を迎えると問題になるのが、ボーナスで賄っている特別支出の約40万円です」
A家の特別支出とは、車の保険料約8万円、自動車税5万7400円、固定資産税2万8700円、管理費5万5000円、トイレのくみ取り代約2万円、浄化槽定期点検代2万6800円(いずれも年間費)などだ。
「私たちがもらえる年金の予定額は、夫の厚生年金が月に約14万円、私の国民年金が約4万円なので、合わせて約18万円。つまり、年金生活になると、特別支出の40万円が赤字となるのです。貯金で補填するにも、200万円では5年しかもちません。その後どうするか不安でたまりません」
しかも先日、その200万円に早くも手を伸ばす事件が……。愛犬がけがをし、手術と入院に100万円かかることになったのだ。これもまた予想外と、Aさんは途方に暮れる。