このような申請の際は仕方がないことだが、“役所用語”が並ぶ文章を読むのは苦行に感じる人もいるのではないか。あとで誤字だと判明したが、「児産手当」という存在しない用語が入っている文章に「同意します」をクリックさせるというのも、厳密に考えればおかしな話だ。
オンライン申請ができない場合は郵送での申請も受け付けられており、苦手な人はそちらを選ぶこともできる。郵送で申請するには、専用の申請書類が必要で、コールセンターに電話すれば取り寄せられるという。コールセンターは土・日・祝日を含む午前9時から午後6時まで開かれており、仕事で平日の手続きが難しい人にも配慮はされていることも付言しておきたい。
東京都福祉局に、申請手続きの複雑さについて聞くと、「さまざまなご意見をいただいております。オンライン申請の手続きがスムーズに行くように改善していければと思っています。マイナンバーカードのスマホでの撮影などは、システム構築を委託しアプリでの公的認証を組み込んだ過程で、このようになりました」(東京都福祉局子供・子育て支援部育成支援課) と回答した。
また、「A27-1」などの「対象者区分」を調べる手間については、「お子さんの状況がさまざまなので、実際の必要書類の確認をお願いしております。分かりにくい部分はできるだけスムーズにいけるように案内をしていこうと考えております」(同)との回答だった。コールセンターも、一時はつながりにくい状況だったという。
あらゆる物の値段が上がる中、子供1人あたり年額6万円は「助かる」のは確かだ。しかし多くの人にとって、「税金を納めるときは自動的に取られるのに、給付される時は難しい手続きが必要」なのは首をかしげたくもなるのではないだろうか。(了)