Bさんのように専業主婦だった妻が夫に先立たれた結果、あっという間に老後資金が尽きてしまうケースは少なくない。ファイナンシャルプランナーの黒田尚子さんが解説する。
「遺族年金は平均するとざっと7万円くらいで、単身世帯の支出は15万ほど。月に8万~10万円の赤字になり、6年長生きすれば720万円にも膨らみ、瞬く間に破綻します。夫が亡くなった後で生活費が不足しそうなら、その分1000万~2000万円の保険をかけておいて、老後資金に充てることも考えるべきでしょう」
意識すべきは貯蓄よりも「使い切ること」
ライフスタイルに伴って必要な老後資金は大きく異なるが、共通したひとつの課題がある。マネーコンサルタントの頼藤太希さんが解説する。
「それは、いかにして“死んだときがいちばんお金持ち”という事態を避けるかということ。例えば旅行するにしても、50代と80代では歩き回れる距離や食べられる量がまったく違う。どうしても若いときの方が時間も使うお金の価値も高いので、後悔しないように使ってほしい。
モノにお金を使うことに抵抗があるなら、家族との思い出や経験に使った方が後々残る。資産寿命を延ばしながら、うまく使い切ることを心がけてください」
お金はあるに越したことはないが、あればあるだけありがたいわけでもない。何のために貯めるのか。いくら貯めるのか。目的や金額をきちんと考えることはすなわち、自分の人生を考えることにもなる。単なる数字に踊らされず、しっかりと自分の老後に向き合ってこそ、安心と充実が待っている。
※女性セブン2023年9月21日号