8月から9月上旬にかけて、円安ドル高が10円近く進行した。この円安トレンドが続く中で、9月には財務省や日銀に動きがあり、市場も反応している。個人投資家・投資系YouTuberの森口亮さんによる、シリーズ「まるわかり市況分析」。森口さんが円安についてのニュースの見方や、今後の為替介入、金融政策の可能性について解説する。
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急速に円安が進行しています。8月から9月上旬までで10円近く円安ドル高が進み、一時1ドル=147円80銭を超える場面もありました。円安については、日本の輸出企業の業績にとってはプラスと捉えられることが多い一方で、物価上昇につながり、景気に対するマイナス面も懸念されます。
今回は、この円安について注目すべき2つのニュースについて考えてみたいと思います。
【1】9月6日に財務省が口先介入
まず1つ目は、9月6日の財務省の神田真人財務官による“口先介入”です。神田財務官は、円安に対して「足元をみると投機的な行動あるいはファンダメンタルズでは説明できない動きが見られており、高い緊張感を持って注視している」と述べた上で、こう付け加えました。
「こういった動きが続くようであれば、政府としてはあらゆる選択肢を排除せずに適切に対応する」
この発言は、マーケットでは口先介入として受け止められています。口先介入とは、政府首脳や金融当局者が、実際に市場に資金を投入することなく、発言によって相場を動かそうとする行為のことを言います。通貨が一方的な動きを続けている時に、市場を牽制する目的で、段階的に行われることが多いです。
8月15日に鈴木俊一財務相が閣議後に発言した「過度な変動は望ましくない、行き過ぎた動きに対しては適切な対応を取りたい」という表現と比較すると、神田財務官の発言は一段強い表現になっていて、為替介入がまた一歩近づいているのではないか?と警戒されました。