断酒できている気がしない
実際、その“終わりのなさ”を感じているのは都内在住の会社員・Cさん(40代男性)だ。断酒のためにノンアルコールビールを飲んでいるうちに、その“沼”にハマったという。
「独身の頃は毎日のように飲み歩いていて、家でも缶ビールを何杯も飲む生活をしていました。でも、さすがに健康に悪いと思って、結婚して子供ができたことを機に断酒を決意。とはいっても、いきなりお酒を断つのは難しかったので、晩酌時にノンアルコールビールを飲むようになったんです」
最初はノンアルコールビールを「まったくおいしいとは思わなかった」というCさん。しかし、毎日飲んでいるうちに「早くノンアルコールビールを飲みたい」と感じるようになってきたという。
「暑い日に『ビールを飲みたい!』と思うのとまったく同じ感覚です。以前は居酒屋で生中を4~5杯くらい飲むこともあったし、家で晩酌するときでも缶ビールを4本くらい飲むこともありました。
今ではそれが完全にノンアルコールビールに替わっていて、特に家では結構な本数を飲んでしまいます。通常のビールであれば“酔って眠くなってそこでおしまい”というのがあったのに、ノンアルだとそれがない。配信ドラマを一気に観ながら、気づいたら10本くらいのノンアルコールビールを飲んでいたこともあります」(Cさん)
おかげで断酒には成功しているCさん。しかし、ビールがノンアルコールビールに代わっただけで、生活習慣が変化したという意識はないという。
「なんだかまったく断酒できている感覚がないんです。もちろんアルコールを摂っていないのだから、以前に比べれば健康的ではあるんですが、なんとなく“依存している”という感覚が芽生えてきている。とりあえず、飲みすぎないようにできる限り自制するように心がけています」(Cさん)
ノンアルも飲み過ぎには気をつけたい?(了)