コロナ禍で、アルコール度数の高い「ストロング缶」を好んで飲んでいた人たちに変化が起きつつあるようだ。在宅勤務が続くことで、ダラダラと飲酒量が増えるのを避けたい、家での気分転換に少しだけアルコールが欲しい、などという巣ごもりならではの事情から、アルコール度数を下げた商品を選ぶようになった人たちも少なくない。
そうした需要を見越してか、サントリーのロングセラーブランド「ほろよい」(3%)の新フレーバーをはじめ、オリオンビールのフルーツ風味のアルコール入り炭酸水「ハードセルツァー」(2%)、アサヒビール「アサヒ ビアリー」(0.5%)など、低・微アルコール商品が次々と登場している。実際にストロング系から低アルコール飲料へと“転向”した消費者たちには、どのような心境変化があったのか。生の声を集めた。
IT企業に勤める30代の男性会社員・Aさんは、在宅勤務や外飲みの機会減少から自宅での飲酒量が増加。1日にアルコール度数9%のハイボール500ml缶を3本以上飲むことが日課になっていたが、出費がかさむだけでなく、仕事のパフォーマンスも低下していた。
「在宅勤務だと飲みすぎてしまう。その場ですぐに寝られ、朝もギリギリまで寝ていられるという安心感から、ついつい余計に飲んでしまい、寝落ちして、気が付くと朝という日が増えました。当然、二日酔い気味で、午前中は仕事に集中できないことが多くなっていました」(Aさん)
体調不良や肝臓への負担など、危機感が募っていたAさんは、ハイボールをより薄くするべく炭酸水を混ぜたり、最後の1本はノンアルコールにするなど工夫。だが、味や飲み心地に物足りなさを感じて、アルコール度数を段階的に下げることで減酒を試みた。
「アルコール度数を7%や5%に下げたり、3本飲むときの内訳として『9%、7%、5%』、もしくは『7%、5%、3%』という編成を組んだことも。こうした“リハビリ”が功を奏してか、今は3%のものを2~3本に落ち着きました。おかげで朝、スッキリ起きられるようになりました」(Aさん)