パソコンやスマホの普及から、手書きをする機会が減っている。しかしそういう時代だからこそ、ふとした時の手書き文字に注目が集まりやすいのも確かで、それだけに自分が書いた字がどう思われているか気になってしまう人も少なくないようだ。字の下手さに悩む人たちが直面した現実について話を聞いた。
「読めればいい」と開き直ってきたものの…
メーカー勤務の30代男性・Aさんは、昔から字がきれいとは言えなかったことを自覚している。今では、できれば手書きしたくないのが本音だ。
「小学校と中学校の時の通知表に『字をもっときれいに丁寧に』と書かれたこを覚えています。大学では授業のノートを友人に貸した時に、『お前の字は読みにくくて役に立たない』と言われたことがありますね。
新卒の就活時には、履歴書もエントリーシートも、それを郵送する際の宛名もすべて手書きだったので苦戦しました。はっきりいって、就活の時は手書きのほうがいいみたいな風潮はクソだなと毒づいていました」
社会人になれば、手書きのストレスから解放されると思っていたAさんだが、「むしろ社会人になってからのほうが、手書きを人に見られる機会が増えているように思う」と語る。
「郵送物の宛名書きや業務連絡のメモなど、手書きをする場面がしばしばあるんですが字が下手なのがイヤ。なるべく文字を書きたくないので、郵送物の封筒にはWordで作った宛て先を貼り付けますし、業務連絡はSNSを活用します。
自分では書きたくありませんが、字がきれいな人から手書きの付箋メモをもらうとうれしいし、その人の印象も良くなるもの。字がきれいで得することはあっても損することはないんですよね。社会人になって、きれいな字はカッコいいことを痛感しています。ずっと字が下手でも読めればいいと開き直っていましたが、字には品性があると感じるのも事実で……」(Aさん)