教員の中には「第三者の意見を聞くことで自信を持って指導できるようになった」という声もある。前出・井上さんはこう語る。
「学校側が対応を迷うような事案があるときに、スクールロイヤーに法的な根拠を示してもらい、非常に心強かったという声も聞いている。“いまの学校の対応で充分ですよ”と言ってもらうことで、自信を持って対応できるようになったとか、学校側が最初は思い浮かばなかった対応を示してもらったというケースもあります」
もちろん、まだ導入されて間もないこの制度には改善点も多いという。弁護士資格を持ち、各地の学校でスクールロイヤーを担当しながら社会科教師としても働く神内聡さんが語る。
「弁護士の判断も自身が体験した学校教育に影響されるケースもあるため、学校現場の現実をよく知っておかないと、現実に即した助言ができない可能性もある。しかし弁護士が教育に関する研修を受ける機会はほとんどない。また、弁護士によって経験や力量に差が出るという弊害もあります」
しかし、これからの動きに期待したいと浜田さんは続ける。
「生徒や教員の心の中まで弁護士が介入することはできないため、すべての問題が解決するわけではない。しかしこの制度の導入をきっかけに、時代に合った校則の整備や教員の労働時間削減など、いまの学校が抱える問題に対処しようとする動きが加速するのではないでしょうか」
学校弁護士が、教育現場を大きく変えようとしている。
※女性セブン2023年9月28日号