田舎の生活費は安くない
人間関係についても「田舎=排他的」というイメージ先行で、移住先での孤立を懸念する人が多いが、地方自治体などがIターン誘致に熱心な昨今、住民が排他的なケースは少ないのだという。
「むしろ地元住民は移住者に積極的に話しかけて“どういう人なのか”を見ようとする。それに対し、移住者のほうが他人に話しかけられるのに慣れておらず、嫌がって結局孤立してしまいがち。また、交流を持とうとする人も、都会から来たことで上から目線な態度が思わず出てしまうことに注意したい。悪気なく『東京は混雑しているけど、こちらは人が少なくていいですね』と社交辞令で言ったつもりが、相手には田舎を馬鹿にされたように聞こえる可能性もあります」
間違った情報を鵜呑みにすることも失敗につながりやすい。典型例が「田舎は生活費が安い」という考えだ。
「大きな誤解で、光熱費は地方のほうが東京などより高いケースが珍しくありません。車が必須の地域では現在高騰しているガソリン代もかさみます。生鮮食品以外は東京とさほど変わりません」
そうしたポイントを踏まえ、移住の失敗を防ぐにはどうすればいいのか。
「移住を決める前に、まずはお試しで体験移住をしてみる。いきなり住宅を購入するのではなく2年間は賃貸で暮らす、または地方のホテルで2週間くらい滞在してみて生活を想像するといいでしょう。行政が地方移住の相談窓口を設けているケースは多いので、相談してみるのもひとつ。地域のシニア向けのイベントに参加してみたり、ふるさと納税で移住体験ができる自治体もあるので、そういうシステムの活用もお勧めします」
※週刊ポスト2023年9月29日号