対応策として、前出・木下氏は「年内に生前贈与するのは一つの選択肢」と語る。
「ローンを払い終えた物件であれば、相続時精算課税制度を使って子や孫に贈与する方法がある。それだと、相続発生時に“贈与時の相続税評価額”が使えるので、改正前の低い評価額が適用されます。ただ、物件の市場価格が年数とともに下落する可能性などは考慮しなくてはなりません」
ローンが残っている場合は貸し手の銀行が認めない可能性も高いという。
「そう考えると生前贈与ではなく、相続時に使える他の特例の活用を探る方法もある。例えば、相続する子が亡くなった親とマンションで一緒に暮らしていれば、『小規模宅地等の特例』を使って敷地権の評価額が8割減になります」(木下氏)
そもそも国税庁のタワマン節税潰しは「まだ甘い」という見方もできる。
「節税効果は減じるが、それでも評価額は理論的な市場価格の6割。これまでの圧縮幅が大きすぎただけで、制度改正後も十分に節税メリットがあるとも考えられる」(同前)
迅速な検討が重要だ。
※週刊ポスト2023年10月6・13日号