グローバルで伸び悩みが続くスマートフォン(スマホ)市場だが、世界を見渡せば、これからこの市場に参入しようとする企業もある。中国の電気自動車メーカーである蔚来集団は21日、スマートフォン“NIO Phone”の販売を正式に開始すると発表した。
チップはソニー(Xperia 5 V)、サムスン電子(Galaxy Z Flip 5)や小米集団(MIX Fold 3)など多くのメーカーの主力機種で使われているクアルコム社製の「スナップドラゴン8 Gen 2」、ディスプレイはフルHD、6.81インチのサムスン電子製、メモリ容量などの違いによって6499元(12万9980円、1元=20円で換算、以下同様)、6899元(13万7980円)、7499元(14万9980円)の3モデルがある。一見すると他社の高級スマホに引けを取らない仕様だ。
スマホ業界はアップル、サムスン電子といった海外メーカーから小米集団、VIVO、華為技術といった中国メーカーまで、多くの有力企業がひしめき合う競争の厳しい業界である。いまさら、大手の一角に食い込み、利益を出せる規模まで市場を奪えるとは到底思えない。その点について李斌CEOは「自動車で利益を出せないからスマホで儲けようと思っているわけではない。ユーザーにとって自社の電気自動車とシームレスに接続できるスマホが必要だから作るのだ」と語っている。
スマホ一つでモーター、駆動システム、センサー、電池、ミラー、エアコン、座席など自動車全体のハードをコントロールすることができる。もちろん、自動車キーとしても使うことができる。今回の異業種からの参入は、スマホの用途拡大を電気自動車メーカーの側から促された格好だ。