好きな人物やキャラクターを応援する「推し活」。今や世間にすっかり定着し、若者だけでなく親世代でも楽しむ人は少なくない。親子で推し活とは楽しそうだが、子供よりも親がどっぷりハマり、看過できない問題に発展するケースもあるようだ。子供たちの声から困った親たちの実情に迫る。
生配信を見るのに忙しくて夕食を作ってくれない母
「母が推し活にハマっていて、困っています」と嘆くのは、都内の学校に通う男子高校生・ユウトさん。母親の家事がおそろかになっているのだという。
「まず、お弁当を作ってくれなくなりました。連日購買でパンを買っていると、友達に『今日もパンだね。どうした?』と聞かれ、『最近パンがマイブームで』などとごまかしていますが……」
ユウトさんによると、母親は韓国の男性アイドルグループにどっぷり。SNSやYouTube動画を見たり、推し活仲間と出かけたりするのに忙しく、だんだんユウトさんのお弁当が簡素になり、しまいには作らなくなった。家の掃除や洗濯も雑になり、挙げ句キレやすくなったという。
「母は常にスマホで推しの情報をチェック。家では推しグループの曲がずっと流れ、商品も推しが宣伝しているものばかりです。お菓子を大量に買ってきて、自分はその味は好みではないからと僕に食べさせるので、本当に勘弁してほしい。味の好みではなく、推しが広告に出ているからって、正直僕たちの生活はどうでもいいのか、本末転倒じゃないですかね……?
さらに何かと推しを引き合いに出すんです。僕と同年齢ぐらいのアイドルを示して、『この子たちも頑張ってる』『アイドルと学業を両立させている子がいるのに』と、僕にダメ出しをしてきます。
最近、夕食時間になってもご飯を作っている気配がなかった時、『ご飯は?』と訊くと、『何もしてないくせに要求ばかりするな』とキレられました。生配信を見るのに忙しかったみたいです……。推しで心は潤っているのかもしれませんが、他人への当たりは厳しくなった気がします」(ユウトさん)