9月22日、宮城県富谷市教育委員会は同市内の小学校で、プールに給水するための元栓を閉め切っていなかったために、25メートルプール約10杯分にあたる約4000立方メートルの水が流出したと発表した。損害額は約203万円に上るという。神奈川県川崎市でも同様の事例があり、担当の教員に損害額を賠償させるとの方針が批判された。今、学校プールのあり方が見直されている。
そもそも学校にプールの授業は必要なのか、という議論は以前からあるという。東京都内の小学校で校長経験のある男性は次のように語る。
「上級生になると、男女混合のプール授業を嫌がる児童も出てきます。指導する教員もハラスメントや安全面について細心の注意が求められる。様々な観点から、学校でのプール授業は課題が多い」
また多くの学校で、プールの老朽化が進み、維持管理費や改修費がかさんで、自治体の財政を圧迫するようになってもいる。そうしたなか、学校プール自体を廃止する動きも目立ち始めた。
千葉県佐倉市では10年前から公立の小中学校でのプール授業のあり方が見直されるようになった。市内に23ある公立小学校のうち、2013年に1校、翌年に1校の合計2校が、学校プールを廃止。水泳の実技授業については、地域内にある民間のスイミングスクールなどに委託している。
同市指導課の担当者は次のように語る。
「委託先のスイミングスクールは屋内型なので、天候に左右されず授業を行なうことができます。また、専門家による指導なので、より高度な授業が期待できる」
同市内には公立の小・中学校が合わせて34校あり、それぞれ年間約100万円のプールの維持費がかかっているという。今後老朽化が進めば、大規模修繕などの必要も出てくる。同市は30年のスパンで、全体の見直しを進める計画だ。