ティザー広告なども含め、最近、多くなっている新車の「事前情報公開」。ニューモデルのスタイルや走り、装備などの一部情報を先行公開し、話題を盛り上げておいた後に、価格などを発表して正式販売をスタートするといった手法だ。今回のスバル「レヴォーグ・レイバック」もそんな1台。発売開始は11月24日とまだ少し先だが、8月にプロトタイプと称するボディデザインの一部を公開。続いて9月に入ると国内のスバル販売店で先行予約を開始し、ほぼ同時期に新潟県の佐渡島を舞台にしたメディア向けの「試乗&取材会」を開催。そこで価格以外の詳細が公開となった。シリーズ「快適クルマ生活 乗ってみた、使ってみた」。この取材会に参加した自動車ライターの佐藤篤司氏が、レヴォーグ・レイバックの魅力をレポートする。
クロスオーバーSUVはスバルの得意技
スバルの「使えるスポーツ・ワゴン」として支持を得ている現行レヴォーグ。そのデビューは2020年でした。ステーションワゴン(以下、ワゴン)としての実用性の高さに加え、オンロード4WDの優れた走行性、そして信頼の運転支援システム「アイサイト」など、スバルならではの魅力を満載して登場したレヴォーグは、日本のワゴン・シーンをリードしています。
一方で、日本だけでなく世界的に見ても、いまは人気も話題もSUVが中心。個人的には、走りでも、市街地での使い勝手でも、乗り降りのしやすさでも、とにかく「ワゴンがいい」と思っているのですが、実際には苦戦中というところかもしれません。確かに他の国産ワゴンと言えば他にカローラ・ツーリングやマツダ6ワゴンぐらい。SUVの充実ぶりに比べれば実に寂しいモノです。
そんな状況に対応するためにワゴンとSUVのクロスオーバー的なモデルは、スバルにとっても「ぜひ欲しい1台」だと思います。そこで投入されたのが今回の「レヴォーグ・レイバック(以下レイバック)」というわけです。このレイドバック(laidback)とは「のんびりする」という意味の英語。車名でもわかりますがレヴォーグをベースに、最低地上高(ロードクリアランス)を思い切って55mm上げて200mmとし、結果的には車高も上がっています。ロードクリアランスが200mmを超えるということは一般的なSUVの中に混じっても、かなりのゆとりを確保したことになりますから、ベースのワゴン以上にアウトドアフィールドでの活躍が期待できるのです。
そこにボディの周辺には力強いオフロードモデルのようなデザインのフェンダーアーチモールや前後のバンパー、そしてレイバック専用デザインのフロントグリルを装備しています。スポーティなワゴンだったレヴォーグが、これだけでクロスオーバーSUVへと変身を遂げたことになります。