「今度は一緒のテントで寝てもいいかな?」
ナツキさんとAさんは近所に住むママ友関係。子供が0歳の頃から顔見知りで、同じ幼稚園に入ることが分かったあたりから、会えば立ち話をする関係になり、親しくなったそうだ。
「キャンプの日程を決めようとなった時、『パパに聞かないと分からないからちょっと待ってて!』と言い出してなかなか決まりませんでした。人気のキャンプ場はすぐに予約が埋まってしまうので、私と子供だけでも行くつもりで押さえていたら、3日くらい前になって突然『キャンプ行けるように調整したよ!』と言い出して……。
困ったのはそれだけではありません。『キャンプ道具貸してほしい!』『交通費安くなるし、車乗せてもらっても大丈夫?』などと、次々と後出しの要求が……。でも我が家にはキャンプ道具の予備はないし、車には荷物も載せなくてはいけないので、同乗は厳しい。やんわりと断ったら、『キャンプって、思ったよりもハードル高いんだねぇ』と呑気な感じの反応でした」
その後も色々と話し合った結果、今回のキャンプではAさん母子が使うテントや寝袋はキャンプ場で一式借りることにし、窮屈になるのを我慢してナツキさん宅の車に同乗することになった。テントサイトの利用料と交通費は折半で1万円。Aさんの道具レンタル費用は約1万円かかり、合計約2万円がAさんの出費だったそうだ。
出発前は色々とあり心配したものの、一緒に行ってみると楽しいことばかりだったという。しかし、笑いの絶えなかった2組の母子キャンプが、帰宅途中の車内でAさんが発した一言で、暗転してしまう。
「Aさんは『キャンプって意外とお金かかるんだね。今度は近場の無料で泊まれるキャンプ場でもいいし、狭いかもしれないけど一緒のテントで寝てもいいかな? 寝袋くらいは用意しておくから!』と図々しいことを言ってきたので、私はついにカチンときました。
私は母子キャンプに出かける以上、安全面や子供が楽しめるなど、あらゆることを考慮しながらキャンプ場を吟味しています。もちろん、それにはある程度の出費も必要。キャンプ=お金がかからず安いというイメージを勝手に持っていたのはAさんなのに、思ったよりも高くついたとボヤかれても……知りませんよ。
それだけではありません。キャンプをしたことのないAさんのためにテントを張ったのは私、車を運転したのも私です。そのことについての感謝の言葉も特にありませんでした。帰りの車までは楽しかった思いのほうが勝っていましたが、最終的に、私はもうAさんとはキャンプに行くまいと思いました」