ソロ、グループ、ファミリーなど様々なスタイルで楽しむことができるキャンプ。コロナ禍では比較的感染リスクが少ない旅行・レジャーのスタイルとして人気が高まった。グッズを取り扱うメーカーやアパレルブランドも増えており、女性向けにも業態を広げていた作業服最大手のワークマンは、2022年2月からキャンプ用品の本格展開を始めている。低価格かつ初心者にも扱いやすいよう工夫されたグッズの登場や、安全かつ快適に整備されたキャンプ施設の広がりにより、性別や年齢を問わずキャンプを楽しむ傾向があるようだ。
その表れと言えるのが、子供とその母親だけで出かける「母子キャンプ」だろう。最近は情報サイトやSNSに「母子キャンプ」に関する記事や投稿が目立っており、日常を離れた自然の中で「母子だけ」で過ごすキャンプに注目が集まる。しかし、その目新しさのせいか、母子キャンプでは思わぬ横槍を入れられることもあるようだ。新刊『誰にだって言い分があります』が話題のフリーライター・吉田みく氏が、最近、5歳の息子と出かける「母子キャンプ」でモヤモヤを感じたという30代女性のケースを報告する。
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千葉県在住のパート主婦・ナツキさん(仮名、38歳)は、母子キャンプを楽しむ1人。その名の通り、母親と子供だけでキャンプに出かけることを指し、SNS上でも話題になっている。覗くと、楽しそうな写真が沢山投稿されている。
しかし、それを近所のママ友に知られたことで、面倒なことに巻き込まれ困っているという。
「元々アウトドアが好きで、夫も含めた家族みんなでキャンプを楽しんでいました。最近は夫の仕事が忙しくスケジュールが合わないので、5歳の息子と2人だけで関東エリアのキャンプ場で母子キャンプを楽しんでいます。大人は私1人なのでテントを設営したりするのは大変ですが、やれば慣れますし、何より、息子がキャンプ場で仲良くなった子供たちと自由に遊ぶ姿は見ていて微笑ましいです」(ナツキさん、以下同)
週末になると母子キャンプに出かけるナツキさんの姿を見たママ友・Aさんが、ある日、「一緒にキャンプに行きたい」と声をかけてきたという。
「『私もキャンプしてみたい! 今度一緒に連れて行って? 子供たちも喜びそうじゃない?』と話しかけてきました。その時は私もすごく楽しそうだと思ったので快諾したのですが、スケジュールを決めるあたりからとても面倒なことになり始めたんです」