親子の縁を切る「勘当」という言葉があるが、現代日本において法的な「勘当」の制度はない。では、親から「勘当だ」と言われた場合、どういった弊害が生まれるのだろうか。実際の法律相談に回答する形で、弁護士の竹下正己氏が解説する。
【相談】
付き合っている女性と結婚しようと思っています。でも、彼女はセクシー女優。どうせバレると思い、彼女を両親に紹介する際に、本当のことを告げたら、親父が大激怒。しまいには「勘当だ!」と大騒ぎ。勘当されるのはかまわないのですが、親子の縁が切れると、将来的にどんな不都合が生じるのでしょうか。
【回答】
実の親子の縁は、切れません。「勘当」は江戸時代の親子の縁を切る制度です。今はそのような制度はなく、父親が感情に任せて勘当だと叫んでも、親子関係は続きます。ただ、仲たがいすれば当然、事実上の影響が出てきます。
例えば、生活を親に頼っていると、今後は期待できません。実家で新婚生活を送ろうと計画していても、親が所有する建物ですから、拒否されれば同居はできません。
また、険悪な状態が続くと、気になるのは相続です。父親が死亡時には、法定相続分に対応する遺産の相続が期待できますが、勘当した子に遺産を残したくないと思えば、父親は遺言で他の近親者に全部相続させるかもしれません。その場合、遺留分という制度で法定相続分の半分は確保できます。