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【止まらない円安】それでも日銀が緩和政策変更を急がない理由とは? 最大の目標は「実質賃金の上昇」

円安をうまく活用する道

 ここまで為替の決定要因は金利差だけではないことを書いてきた。

 仮に利上げによって円高局面がやってきたとして、その時に景気が悪化し、購買力まで落ちてしまってはデフレまっしぐらであり、かつて日本が味わった「失われた30年」のようなお先真っ暗の未来が待ち受ける。

 大切なのは、ドル円がいくらなのかという為替の話ではなく、日本国民全体の所得水準を上げ、消費意欲や購買力を高めることである。そのためには世界に通じるメイドインジャパン製品やサービスを作り、世界中から資本を集める事が最も大切なことになるだろう。

 最近、政府や企業も、円安の後押しを受ける取り組みをしている。「安い日本」に押し寄せる外国人向けに一泊数十万円ものホテルサービスができたり、海外に展開していた生産工場を「安い日本」に移し、採算を良くしようとする企業も出てきた。ソニーやTSMCといった大手企業の半導体工場が熊本に建設されるというニュースもある。

 今後も世界に通じるメイドインジャパン製品、サービスを作る動きに目が離せない。実は日本は千載一遇のチャンスを迎えている可能性がある。

 円高には円高の良し悪しがあり、円安には円安の良し悪しがある。それぞれの利点を享受していく姿勢が経済発展につながっていくのではないだろうか。

【プロフィール】
古賀真人(こが・まさと)/個人投資家、経済アナリスト、会社経営者、投資系YouTuber。1978年生まれ。埼玉大学経済学部卒業後、国内大手金融機関、外資系金融機関勤務を経て独立し、株式会社ライフサポートを設立。25年以上の株式投資経験を活かし、チャート分析からはわからない経済分析、個別企業分析をYouTube「カブアカちゃんねる」で展開。全決算を最速分析しているnote「カブアカマガジン」(https://note.com/masatokoga)を日々更新中。

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