結婚や我が子の誕生を機に加入して以来、数十年にわたり「生命保険」の契約を続ける人は多い。たとえば、妻や子のために加入した後、節目に応じた保障内容の見直しはしても、「受取人」である妻に先立たれた場合のことまで考えていないという人もいるだろう。
漫然と契約を続けていると、妻に続いて自分が死んだ後、思わぬ状況が待っているかもしれない。生活マネー相談室代表の八ツ井慶子氏が言う。
「先立った妻が受取人のまま被保険者である夫が亡くなれば、妻の法定相続人が死亡保険金を受け取ることになります。死後に発生する財産を引き継ぐことになるため、遺産分割協議の対象にはなりません。関係性の薄い妻の兄弟姉妹など、想定外の人に死亡保険金がわたることもあり得ます」(以下「 」内コメントは八ツ井氏)
そうならないためには、妻の死後に受取人を「遺したい相手」に変更することが必要だ。
「子供が複数いる場合、なかでも経済的に苦しい1人を選んで受取人にするなど、希望通りにお金を遺すことができます。子供がいない場合は、自分の葬式をしてくれそうな兄弟姉妹を受取人にするといいでしょう」
受取人の名義変更は妻の死後に必ず済ませたいが、生命保険のなかには妻の生前から「解約」を検討していいケースも。
「掛け捨てタイプの死亡保険については、定年近くになって子供が巣立ち住宅ローンも払い終えている場合、ニーズ自体が下がります。退職金があればなおさらです。奥様が“ゼロになるのは怖い”と保険金を減額して継続するパターンをよく見ますが、実際には死亡保険金がなくても遺族が生活に困らないケースは多い。
自動更新の掛け捨てタイプは更新時の年齢で保険料が再計算され月々の負担が増えるので、保険の必要がなくなった時点で更新を待たずに解約してもいいでしょう」