マネーリテラシーは発する言葉に出ている
私が世界38カ国を旅して出会ったケタ違いの資産家は一様に、「良い借金と悪い借金」に代表される本物のマネーリテラシーを身に付けています。“富の共通認識”があるわけです。
逆に、どれだけお金持ちのように振る舞っていても、マネーリテラシーのなさがはっきりと露見する人物もたくさんいます。
30代の、ある女性インフルエンサーは、年収1億円あるお金持ちだと自分で公言していました。本を何冊も出版していて、マスコミにも出演している著名人です。
わかりやすいキラキラ経営者で、原色の派手なワンピースに茶髪の巻髪。高級ブランドバッグ、外資系の超高級ホテルが大好き。かなりの早口でまくし立てる女性でした。私が出会った当時、彼女は海外在住の日本人の富豪とお付き合いしていたようで、こんなことを言っていました。
「投資家の彼から『君は賢いけど、お金に関しては全然ダメだ』と言われて、海外で大ゲンカになったの。だって、私はお金に関して最も自信がありますから。高収入でお金さん達から愛されている。キラキラ金脈が私の周りを流れている。そして私は借金もまったく無い。だから本当にお金に関して優秀だという自負がある。それなのにそんなことを言われて本当に腹が立ったの」と。
私はその言葉を聞き、「投資家の彼が言うとおり、この人はお金に関して全くダメだ」と思わず吹き出しそうになりました。
金脈? 愛されている? そういった言葉を語る「自称・お金持ち」は大勢います。けれど、お金は単なる数字。あちらに愛してもらう必要もなければ、こちらが愛する必要もありません。フワフワした感情とは一切関係がないものです。
また、「借金=悪」と思っているようでは、「私には本物のマネーリテラシーはありません」と自白しているようなものです。借金にはいい借金と悪い借金があり、いい借金はどんどんするべきだからです。
さらに彼女は投資についても話していました。
「私は投資だってちゃんとしていますよ。事業だけでは不安定ですから。以前に50万円で買ったビットコインが、現時点で700万円になったの。おわかりでしょう? 私は投資家としても成功をしているってことが」
この女性には悪いのですが、そもそも元本が毀損するリスクがあるものは投資ではありません。まさに貧者の発想で行うギャンブルであり、正確には投機と言います。この女性のように借入を嫌い、労働で稼ごうとするキャピタルゲイン型では、本物の資産家にはなれません。
資産家は「毎月3000円」をこうして使っている
「女子のための株の基本」「節約大全」「クレジットカードの活用法」もっともらしいお金の本はたくさんあります。
私も一時期、お金の本を買い漁ったことがあります。でも気付いてしまったのです。「お金持ちは、身内にしか教えない、だからお金持ちと仲良くなるしかない」と。
そのために思いついたことはただひとつ、「婚活」です。
その婚活中に出会った投資家のジョーさん(50代男性)は、どうしても隠しきれないほどのお金持ちオーラの持ち主。資産額はなんと100億円超え。
ある日、カラオケに誘われました。大切な話は、雑居ビルの中のカラオケボックスでするのだそうです。彼が大好きな占いやファッションの話など、楽しく会話しながら1時間ほどが経ちました。一瞬だけ沈黙が流れると、やっと私の話す番がやってきたと直感しました。
「どうしてもお金持ちになりたいのです」そう伝えました。すると、彼は、カラオケを主電源から完全に落とし、音も照明も完全に消すとひっそりと耳元でささやき始めました。
「今からとても大切なことを言います。毎月3000円の貯金はできますか? 1年続けたら3.6万円になりますね? 10年続けたら、貯金はいくらになる?」
36万円になります、と私は答えました。彼はしばらく沈黙したあと、スマホの電卓を使いながら、こう切り出しました。
「ここからが重要なのでよく聞いてくださいね。もうひとつ、別のケースを考えます。300万円を年利2%で借りる。そして、それを10年で返すとする。すると毎月の返済は? これは2万7604円になります」