今年もハロウィンの季節がやってきた。各地で仮装行列をはじめとしたイベントが予定されるほか、小売店や飲食店などではハロウィンを意識した装飾、関連グッズや商品の販売が盛り上がっている。一方、昨年は韓国ソウルの繁華街・梨泰院でハロウィンの直前に雑踏事故が発生し、大勢の人が亡くなる悲劇が起きた。日本でハロウィンと言えば仮装した男女とその見物人が殺到する“渋谷ハロウィン”が有名だが、10月5日 、長谷部健・渋谷区長は日本外国特派員協会で開かれた記者会見で「渋谷に来ないで」と異例の訴えを行った。コロナ後のインバウンド復活で、今年は外国人を中心に例年以上の人出が予想されることから、トラブルや雑踏事故を未然に防ぐためという。
世間の人たちは“渋谷ハロウィン”についてどう感じているのか。フリーライターの吉田みく氏が、実際に参加したことがある人も含む、30代の女性2人に話を聞いた。
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オンラインでカタログギフトサービスを展開するウェブギフト社が今年9月に行った、ハロウィンの路上飲酒や騒ぎなどの問題についてのアンケート調査(300人の男女対象)によると、「渋谷駅周辺に集まることへの自粛要請に関してあなたは支持しますか? しませんか?」の問いに86%が「支持する」と回答。また、「あなたは今年のハロウィンに渋谷へ行きたいですか?」の問いには97%が「行きたくない」と答えている。路上飲酒やゴミの散乱など、マナーに反する行動への厳しい意見が多かったようだ。
その実態とはどのようなものか。渋谷ハロウィンに参加経験のある埼玉県在住の会社員・アヤノさん(仮名、32歳)に聞いた。
「私が渋谷ハロウィンに参加したのは約10年前、学生時代の友人に誘われたことがきっかけでした。とても賑やかで楽しかったのですが、道には空き缶やゴミが散乱していたり、駅や商業施設のトイレの利用マナーが悪かったり……。あまりいい印象は持てませんでした」(アヤノさん)
当時、仮装をして渋谷ハロウィンに臨んだというアヤノさんだが、具体的な話を聞くと、かなりの苦労があったようだ。
「荷物を預けるためにコインロッカーを利用しようとしても空きはなく、着替える場所もない……。移動しようにも人混みがすごくて、思うように動けませんでした。路上で着替えている女性もいたほどです。友人と話し合った結果、いったん渋谷から離れ、数駅離れたところにあるマンガ喫茶で着替えを済ませ、荷物もその周辺で預けました」(同前)
頑張って参加した渋谷ハロウィンだが、その結果はいまいちだったようだ。
「支度に手間がかかり、思ったよりも楽しむ時間がありませんでした。着替えて終電で帰らなくちゃと考えるとバタバタで……。滞在時間は1時間程度だったかもしれません。終始慌ただしいハロウィンでした。もう当時ほど若くもないですし、これだけ問題になっているわけだから、今後参加する予定はないです」(同前)
アヤノさんの話から、渋谷ハロウィンにはこりごりな様子が伝わってきた。「渋谷区の自粛要請も納得できます」と話していた。