ラーメン店の倒産増加が話題になる一方で、富士経済によれば2023年度のラーメン市場の規模は4385億円。コロナ禍によって大きく落ち込む前の水準(2019年度=4500億円)まで回復しようとしている。【飲食店の原価・第2回/ラーメン編・後編。前編から読む】
各店の経営は決して楽ではないなか、ラーメン市場の規模が拡大していることについて「ラーメン店は手抜きも簡単。参入障壁が低いから」と話すのは、業界紙のライターだ。
「ラーメン店の倒産が増えている理由のひとつに“競合店との競争激化”があります。味での勝負というより、価格競争による消耗戦。撤退する店はそうした戦いで敗れ去ったというのが実態です。そのうえ個人経営の店が多いため、回転寿司のように大手チェーン店が主導しての値上げもできない。結果、ラーメンの値段を上げられない状態の消耗戦が続いている。
そうした価格競争を生き抜くため、業務用濃縮スープの素を使用する店が増えています。スープは醤油、とんこつ、味噌の順にコストがかかる。チェーン店の場合、セントラルキッチンで調理したスープを使っているケースもあるが、基本的に濃縮スープがあれば手間暇をかけてスープを作らなくて済む。できるだけカネも手間もかけずにコストを安く抑えたいラーメン店経営者にとって、お湯で薄めるだけの濃縮スープの素は実に都合のいい“魔法の液体”なんです」
とんこつスープを煮込むと近所からクレーム
とんこつスープは、白濁するまで煮込むことで鶏ガラより濃厚なスープが採れるのが最大の特徴。寸胴で豚骨と野菜を半日かけて煮込むのだが、調理過程で独特の臭みが強く出る。その匂いは強烈で、住宅が近くにあるとクレームが出ることもあるほど。
鶏ガラスープにチャーシューの風味を加えた醤油ラーメンの濃縮スープの素、味噌をベースに各種のスパイスを加えた札幌風の味噌ラーメンの濃縮スープの素、鶏ガラスープの風味豊かな塩ラーメンの濃縮スープの素など、あらゆるラーメンに対応しており、業務用として販売されている。