バックラッシュを懸念する大学教員も
こうした学生の反応を受けて、関西の大学でフェミニズムの講義を担当している教員の女性・Cさん(40代)は、次のように語る。
「フェミニズム運動には、過去にもバックラッシュ(反動)がつきものでした。いわゆる揺り戻しです。フェミニズムを単純に『女性の権利を拡充しろ!』という主張と勘違いした人たちや女性の社会進出によって座席を奪われたと感じる男性などから、フェミニズム思想への反発、嫌悪感の表明などが起こってきました。もっとも男性だけでなく、女性のなかにもバックラッシュに与する人たちはいます。
SNSでのフェミニズム思想の広まりや、性的少数者の権利拡充を訴える声が目立つようになった昨今、一部の過激な、あるいは学説史を踏まえていない『ツイフェミ』などが、若者たちに不安感を与えている面はあると思います。そうしたなかで、Wokeそのものが“やっかいな意識高い系”と揶揄されてしまうのです」(Cさん)
Cさんは、SNSによって過激な主張ばかりが強調されることで、「Woke」に対するネガティブな印象が強まり、バックラッシュが起こりつつある現状を懸念している。
「せっかくマイノリティが生きやすい社会に向けて前進しているのに、そういったバックラッシュが加速するのは残念なことです。大学の講義では、そういった点もメタ的に論じつつ、人種・性的マイノリティに対する差別撤廃の問題などを、丁寧に論じていく必要があるでしょう」(Cさん)
世界中でマイノリティに配慮した社会構築が進むなかで、行き過ぎた主張に対して違和感を覚え、敬遠する若者たちもいる。社会全体の価値観が変わるのには、まだ時間がかかるのかもしれない。(了)