クルマの外側とコミュニケーション
人とクルマ、そして社会が、互いの存在を感じながら相互理解するというアフィーラ。その真骨頂はやはり、互いの意志や存在をどのように表現し、どう感じ取ることができるか、にあります。まずエクステリアで目を引くのは、フロントマスク部分上部とテール部分上部に装備された「メディアバー」という横長ディスプレイです。ここにはクルマの意志を外部に伝えるインフォメーション的役割を持っています。現状はどのような情報を外部に向かって発進するかは検討中とのことですが、たとえばドライバーがクルマに乗車する前にアニメーションでバッテリー残量を知らせてくれるとか、車内空調の状況や今日の天気を示してくれたりすることも可能かもしれません。
現状、詳細をすべて把握できていないのですが、この「クルマの外側とコミュニケーションできる」という能力は実に魅力的だと思います。アフィーラが知性を持ったモビリティとするならば、オーナーだけでなく、外にいる人に対して光で意思を示すメディアバーは口であり目であり顔の表情でもあります。今後、その表情をいかに創り上げていくかは、様々なパートナーやクリエイターとともに可能性を模索していく予定とのことです。さらに、こうした外部とのやり取りをスムーズに行うため、スッキリとしたエクステリアにしたというのであれば納得できてしまいます。
さて車内に乗り込もうとすると、車載のセンサーやカメラがドライバーや乗員の接近を検知し、顔認証でドアが自動で開閉する仕組みのためドアハンドルはありません。この辺の仕掛けも、既成概念が少しずつ上書きされていく感じです。
横長のスクリーンには映像やゲームなどのコンテンツが
キャビンはホイールベースが3000mmと長めに確保されているため非常に広々としています。そしてラウンド感のある空間デザインはカラーリングもシンプルで落ち着きがあり、安心感、安らぎを与える演出になっています。一方で運転席に座ると、左右いっぱいに広がる横長の「パノラミックスクリーン」に目がいきます。ここでもクルマや社会とのつながりを得ることになるのですが、これまでどおり車両情報やオーディオなどのほか、音楽や映像、そしてゲームなどといった多様なコンテンツが表示可能です。さらに各項目などはドラッグやフリック操作によって自在にカスタマイズ可能。ユーザーごとに設定されディスプレイにおいては、日本の音楽ユニット「YOASOBI」や、韓国のバーチャルアーティスト「APOKI」といったコンテンツの部分でアップデートが施されているそうです。まさにデバイスのような使い勝手になっています。やはりSONYがネットワークにつながったら特別な力を発揮できるとはずですから期待値は上がります。
ステアリングのデザインはこうしたスクリーンの視認性を確保するために上部3分の1程度をカットした操縦桿タイプを採用しています。個人的には、どうせならゲーム機のコントローラーのようなデザインでも良かった気もしますが……。当然、まだ走行は不可能ですが、駆動システムはAWD(4WD)で、その自動運転システムは特定の条件下でレベル3の搭載を目指します。一方、市街地など、より繊細な運転条件の下では運転支援機能「レベル2+」の開発にも取り組むということで、市販化へ向けて開発が進んでいます。