終活、ミニマリスト、片付け……さまざまな理由で「手放す」人がもてはやされる昨今だが、思い出が詰まったモノや、つらいときに支えになってくれたモノを簡単に捨ててしまって、本当に後悔しないだろうか? 「捨てられないモノ」が何かわかったとき、人生で大事にすべきことが見えてくる──。
「捨てる・捨てない」を決めるなかで、ぶつかり合い、許し合った夫婦がいる。
「大きな紙袋の中に小さな紙袋がいっぱい入ってる、そんな大事な“紙袋入りの紙袋”が10袋ほどあったのに、私が仕事で遠くまで行って家を空けたとき、夫がごっそり捨てたんです」
2010年にイタリア料理店のオーナーシェフ・桝谷周一郎氏と結婚した、お笑いコンビ・北陽の虻川美穂子(49才)。幸せな夫婦生活に何度も亀裂をもたらしたのが、虻川の「捨てられない癖」だった。
「整理整頓が好きで得意な夫は何でもパッパと捨ててしまえるけど、私にはそれがすごく難しい。
大げんかの理由になった紙袋はかわいいデザインのモノが多いから愛着が湧くし、誰かに何か差し上げるときに使いたいから捨てたくない。ほかにも、あと一口分だけ残った食べ物や、サイズアウトして着られない息子の服だって取っておきたいし、もっと言えば飲み物や食べ物の空き瓶ですら、何かに使えそうだと思うと捨てられなくなってしまって……」(虻川・以下同)
しかし当然、きれい好きの夫はそれを理解できず、言い争いに発展することは日常茶飯事だった。
「きれい好きの夫にとっては相当なストレスだったようで、『なぜ要らないモノを取っておくのか理解できない』と何度も言われました。
その通りだと思うし、私にも快適に生きるためにはモノを減らすべきだとわかっていながら捨てられない葛藤があります。そこを夫に突かれると腹が立って……だけど考えてみれば同じようなことで悩んでいる夫婦ってほかにもいるんじゃないか?と思って、夫と一緒に片付けをテーマにしたYouTube動画の配信を始めたんです」