2022年の流行語大賞に「インボイス制度」がノミネートされてからはや1年。よくわからない!という声が多い中、10月1日から始まったこの制度。インボイス登録後、もしあなたが課税事業者になったらどんなことが待ち受け、何に注意すべきか、インボイスが世の中に及ぼす余波とともに、知っておこう! フリーランスのK記者が税理士の小島孝子さんに聞いた。【全5回の第5回。第1回から読む】
消費税を納めるのはいつ? どうすればいいの?
小島さん:個人事業主やフリーランスの人が、毎年行っている確定申告は所得税の申告ですが、インボイスに登録すると、それとは別に消費税の確定申告が必要になります。
K記者:所得税の申告は毎年3月15日が締め切りですよね。消費税の場合はいつまでですか?
小島さん:少し先の3月31日が締め切りで、納付もそこまでに済ませます。
K記者:げっ!? 所得税の書類をまとめるだけでも大変なのに、さらに作業が増えるのか(汗)。実際にはどう進めるのですか?
小島さん:まずは、消費税用の申告書を国税庁のWEBサイトなどから入手して、帳簿をもとに課税対象期間の消費税額を計算して書類に記入していきます。
K記者:そういわれても、消費税額の計算はどうすればいいのか、さっぱり……。
小島さん:そうですね、実額の経費を使って計算するのは大変です。ですから、そういう人のために、簡易課税や2割特例のような軽減措置が設けられているのです。書類の作成も、国税庁のWEBサイトに自動計算してくれる無料ソフトがあるので、それを利用したり、それでもわからないときは税務署に聞くのがいちばん。ただし、納税期限内に申告しないと延滞税を取られる可能性があるので要注意。一緒にやるのは大変だけど、所得税の申告と同時に済ませてしまいましょう。
消費税を払っても、確定申告の還付金はもらえるの?
K記者:所得税の確定申告は税金が還付される春のボーナスのイメージですが、消費税の確定申告の場合は真逆なんですよね?
小島さん:そうです。所得税は報酬の支払元が先に天引きしておりほぼ納付済みなので、確定申告で納めすぎの分が戻ります。それに対して、消費税は手元に預かったものを確定申告で納付することになります。2つの確定申告は別物ですが、消費税納付額より所得税還付金が多ければ、差額が戻ることになりますよ。
K記者:もし、消費税納付額の方が多かったり、少なかったりしたら、どうなりますか?
小島さん:消費税は一旦払う、所得税は後日還付が原則。もし還付が多ければ両者の差額で戻してもらうよう相談もできます。
K記者:もし、還付金が吹き飛んじゃったら!? 寂しいですね~。