国際バカロレアは文科省の対極
たとえば「ChatGPT」は、アメリカの司法試験で上位10%に入る結果を出し、余裕で合格できることがわかったと報じられた。また、「GPT-4」に2018年から2022年までの日本の医師国家試験問題を解かせたところ、5年分すべてで合格ラインを上回ったという。
これまで弁護士や医師、薬剤師、教師、公認会計士、税理士、弁理士、司法書士、行政書士などは国家試験に合格して免許を取得すれば、知的ワーカーとしてそれなりの高収入を得ることができた。しかし、それらの仕事は基本的に「答えがある」領域だから、AIに取って代わられるのは、もはや時間の問題なのである。
その流れの中では、小学校から中学校、高校、大学という教育体系も崩壊していくだろう。たとえば、いま医師や薬剤師は大学に6年も行って国家資格を取っているが、そういう時代ではなくなるのだ。
今後はAIが多くの職業・職種で人間から仕事を奪っていく。その中で生き残るためには「AIにはできないスキル」を身につけるしかない。そのための教育はどうあるべきなのか?
世界では、教師は正解を教えるのではなく児童・生徒に疑問を持たせてそれを解決するためのサポートをする北欧の教育、あるいは世界で通用する論理的思考力やコミュニケーション能力を身につけることができて世界共通の大学入学資格が得られる国際バカロレア(IB)が先行している。
私が創業した教育事業・人材育成事業を手がける「Aoba-BBT(ビジネス・ブレークスルー)」は、IB認定校「アオバジャパン・インターナショナルスクール」を運営している。文科省はIB認定校を増やす方針だが、IB教育は学習指導要領の対極にある。「先生の役割は自分の考えを児童・生徒に伝えること」「学習指導要領に沿って教えるならAIにやらせればよい」という考え方なのだ。