樹木葬への注目が年々、高まっている。お墓の情報サイト「いいお墓」が行なった「お墓の消費者全国実態調査」によると、昨年同サイトを通して新しく墓を購入した人のうち、樹木葬を選んだ人が調査開始以来はじめて半数を超えたという。一般的な墓や納骨堂を大きく引き離した。
寺や霊園が「永代供養」で管理してくれるうえに従来の墓より安価であり、「先祖代々の墓を守る」という意識が希薄になるなか、子供に継承させなくていいといった理由から樹木葬が支持されているという。
だが、イメージ先行で樹木葬を選ぶと、思わぬ後悔につながる可能性もあるというのだ。「こんなはずじゃなかった」と悔いることのないように、樹木葬のトラブル事例と回避術を解説していく。
30万円のはずが「200万円」に
ひとくちに樹木葬と言っても、大きく2種類に分けられる。人里離れた山林で寺院などが所有する敷地に墓所を設ける「里山型」と、街中の寺院や霊園の一角を樹木で飾る「都市型」だ。
特に都市型の樹木葬で多いのが、お金に関するトラブルだという。一般的に樹木葬の相場は30万~100万円程度とされ、前出の「いいお墓」の調査によると平均価格は66万9000円。しかし、想定していたより高い金額を提示されるケースも少なくないという。
「30万円程度で入れると聞いていたのに、いつの間にか金額が膨れ上がりました」
そう語るのは都内在住の70代男性だ。生前に樹木葬の墓地を決めようとしたが、思っていたより高くてやめたという。
「寺院の一角に樹木葬の区画があり、入り口に近い場所には立派な観音像がありました。入り口から離れて奥に行くほど安価なのですが、住職からは“観音像近くの区画しか空いていない“と告げられました。
観音像の周囲の区画は利用料が100万円と割高。しかも、私は妻と自分の2人分のスペースだけで充分なのに、その区画は最大4柱まで遺骨を納められる家族向けでした。その分割高で妻と2人で200万円ほどという計算になり、これでは一般的な墓と変わらないと諦めました」