「後で円盤を買おう」では遅い
だからこそ本当に好きな作品については、「配信だけで楽しむのではなく、絶対に円盤を購入するようにしている」と話すのは、都内に住む会社員・Aさん(40代男性)だ。
「サブスクは、関係者の不祥事が原因ではなくても、配信期間が決まっていて、終了することがあります。本当に好きな作品であれば、円盤を手元においておきたいという思いもあるし、誰かの都合でその作品を観られなくなるのもイヤ。正直、サブスクはいつ観られなくなるか信用ならないので、私は好きな作品の円盤は絶対に手に入れるようにしています」
サブスク配信が普及したことで、円盤を手に入れにくくなっている状況もあるようだ。CDやDVD、ブルーレイディスクなどの需要が下がっているなか、発売からそんなに時間が経っていないのに、品切れ状態になる作品も少なくないという。
「最初から“円盤は一部の熱心なファン向け”として、制作枚数が抑えられているケースも多いんです。そうなると、いざ買おうと思った時にCDショップの店頭には並んでおらず、通販サイトでも発売日から時間が経つと、取り寄せまでにかなり時間がかかったりしてしまう。関係者の不祥事あるなしにかかわらず、『後で円盤を買おう』と思っていたのに、気づいたときにはもう手に入らないということは珍しくありません」(大塚氏)
サブスクで映画やアニメ、音楽を楽しむことと、円盤を購入することは“まったく別物”と考えるファンもいる。都内の自営業・Bさん(30代女性)は言う。
「映画もアニメも音楽も基本的にはサブスクで観たり聴いたりすることが多いです。でも、それとは別に本当に好きな作品は円盤を買って、開封せずに置いています。
それは“買って持っておきたい”という気持ちもあるし、“ちゃんとお金を払って、作品に貢献したい”という気持ちもある。サブスクは作品を楽しむには便利なサービスだけど、“推し活”には入らないんですよね」
サブスク全盛の時代になっても、熱心なファンにとって円盤は代替できない重要な存在である。その価値は、むしろ高まっていると言えそうだ。(了)