毎月定額のサブスクリプション(サブスク)サービスが普及したことで、音楽はスマホ1つで何千曲もの膨大な数を聴ける時代になった。レコード、CD、MD、iPodといった音楽メディアの栄枯盛衰の流れをリアルタイムで見てきた人の中には、その変化に驚嘆する人も多いだろう。
ただそうした時代になっても、CDプレイヤーを手放すことを躊躇している人はいる。Webサービス会社で働く30代男性・Aさんもその1人だ。
「CDを聴く頻度が激減したのは事実ですが、サブスクや配信ですべて網羅できるわけではないのも事実。CDやMDで保管しているものもあります」(Aさん)
Aさん曰く、自分が学生時代に聴いていた楽曲も続々とサブスクで配信開始されているが、「まだまだ全部ではない」とのこと。だからこそCDプレイヤーが手放せないというが、理由はそれだけではないようだ。
「サブスクや配信は、便利だけど味気なさもある。バイト代を貯めて購入したCDアルバムを、歌詞カードを見ながら、CDプレイヤーの前でかみしめるように味わっていた時代もありました。そういった思い出もあって、なかなかCDプレイヤーを手放せない」(Aさん)
素材メーカーに勤務する40代男性・Bさんは、CDコンポとポータブルCDプレイヤーを昨年末に処分しようと思っていたが、結局、思いとどまったという。
「壊れかけていたし、場所を取るだけだから処分しようと思っていました。でも、久しぶりに CD ディスクを 挿入してプレイヤーで再生してみると、PCやスマホのスピーカーの音と明らかに違う。結局捨てられませんでした」(Bさん)
もちろんPCやスマホに外部スピーカーを接続すれば音は良くなるだろうが、久しぶりのポータブルCDプレイヤーにすっかりハマり、外でもCD音源で音楽を聴くようになったBさん。移動中の電車内で聴いているというが、取り出すと周囲の人にギョッとした目で見られることも多いという。それでも止めないのはメリットがあるからだ。