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オバ記者が振り返る旧統一教会信者とのやりとり ギャンブル依存症だったからわかる「他人に説明不可能なことを抱えている“囚われ人”の心理」

 Yさんは教団から「外国人と結婚させる」と言われていたけど、その相手が決まらない。「カルマが強すぎて結婚できるレベルじゃない、と幹部から言われている」と言うの。

「んなバカな」と私が言うと、「うふふ。やっぱりそう思います?」とYさん。そして「最近、協会が南米に大きな食料貯蔵庫を作る計画があって、今年中に30万円以上の献金をしないとならないんですよね」とグチめいたことも言う。その額は短大出でOLになったYさんの冬のボーナスのほぼ全額に当たる。それを差し出すのはイヤ。口にこそ出さないけれど、Yさんの顔に書いてある。

 それから何年かたって私は聞いたのよ。南米はどうなったのか? てか、Yさんの結婚相手は決まったの? そのたびにYさんはのらりくらり。荒唐無稽としか言いようがないことを繰り返していたけど、それも限界だったんでしょ。あるとき黙って受話器を置かれ、それきりになった。

ギャンブルは自分だけの問題だが宗教は他人や家族を巻き込む

 そうなんだよね。他人に説明不可能なことを抱えている“囚われ人”の話を真に受けても仕方がないんだって。

 宗教だけじゃない。軽いところでは、「これ、絶対よ」と、会えば化粧品、サプリメント、育毛剤などを押しつけてくる“押し強めの営業ママ”にしてもそう。「この間すすめてくれたあれはどうなったの?」と聞くのは野暮で、そのときはそのときなのよ。投資詐欺や結婚詐欺、みんなそう。

 なんで私がそんなことを言えるかというと、私はかつて20年間ほど、ギャンブル依存症という“魔界”の住人だったからよ。宗教関係者から「一緒にするな」と怒られそうだけど、あのときバイブルにしていたギャンブル雑誌や本は、いまにして思えば“教義”で、そこからすべてを発想していたもの。

 そのお金と時間を捻出するためにはどんなウソでもついたし、また、そのアイディアが泉のように湧いてくるんだわ。よく社会人を続けてこられたものだと、いま思えば恐ろしいわよ。とはいえ、ギャンブルは私だけの問題だけれど、宗教は他人や家族を巻き込むのが罪深いところでね。

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