解散命令が請求された旧統一教会。体験取材でおなじみの『女性セブン』の名物ライター“オバ記者”こと野原広子さんは、かつて旧統一教会から勧誘をされたことがあるという。オバ記者が、信者との交流について綴る。
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「そんなバカな!」。会見を見ていた私は、思わず声をあげそうになったわよ。
ほかでもない。「世界平和統一家庭連合(旧統一教会)」の田中富広会長が献金トラブルは組織的に起こしたことではなく、「現場の信者の説明不足で、誤解などがあった」って、信者のせいにしたんだもの。さらに、「行きすぎた行動があったとしても、信者が相手のためを思って行ったと信じている」って、あのね~。「おためごかし」もいい加減にしたら。
以前も書いたけど、旧統一教会と私は“他生の縁”がある。なんて書くと、「ほら、やっぱり」とすり寄ってこられそうだけど、いやいや、そうではなくて。教団がバリバリの霊感商法を展開していた1990年当時のことよ。
「アンケートに答えてもらえますか?」と街頭で声をかけられ、ヒマにあかせて彼らの言い分を聞いたこともあるし、銀座の街頭で手相を見てくれた女性に誘われて、教団のビデオを見に行ったこともある。私の手元にはそのとき3万5000円で買った水牛のハンコがあって、それをいまも実印として使っているもの。なのに結局のところ、彼らの言う「教義」がどうにも腑に落ちなかったのよ。で、最後は幹部を名乗る女性と大声をあげてケンカ。連れられて入った雑居ビルの一室で、彼女たちはそこを根城に勧誘を繰り広げていた。その壁には何枚かの飾り物が掛かっていて、見れば、ジグソーパズル。
「てかさ。この安っぽいイラストを額に入れて壁に飾るセンスからして信じられないっ」と言うと、「ここに来てそんな暴言を吐くと、地獄に落ちますよ」と言うから、「ああ、けっこう! あんたと同じところじゃなかったら地獄でもどこでも行くわ!!」と椅子を蹴っちゃった。当時私は33才。まぁ、血気盛んだったんだわね。
とはいえ、じゃあ、まったく教団と関係が切れたかというとそんなことはない。手相を見てくれたYさん(当時29才)が「もう勧誘しない」と言うので、交際は続けていたの。