10月後半から始まった日本企業の決算シーズン。すでに約3500社の上場企業の決算がおこなわれているが、注目の決算はどこか。個人投資家、経済アナリストの古賀真人氏が、業績の変化やコメントに着目しながら、注目企業を分析する。
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年末に向けて相場が上向いてきている。10月後半から11月14日までの約3週間で約3500社の決算発表が行われた。
決算は会社の業績が数字の羅列で発表されるものと捉えている人も多いが、数字だけでなく、企業が出すコメントからは、今後の将来展望、意気込み、自信などが垣間見えることも多い。
今回の決算では今後の業績に対して明るい兆しを感じられる業績変化やコメントを出した企業を3つピックアップしてみよう。
トリドールホールディングス(3397)
「丸亀製麺」が有名なトリドールホールディングスは、11月14日に2024年3月期の第2四半期決算を発表し、前年同期比で売上+22.4%、営業益+22.5%と業績は大幅成長。翌日の15日には株価が前日比+9.46%上昇という爆騰を見せた。
決算と同時に発表した通期業績予想の修正は、事前に想定されていたアナリストコンセンサスを上回るまでにはいかなかったにもかかわらず、株価は前述のとおりの大幅上昇となった。
株価の大幅上昇につながったのは、同社が発表した「通期連結業績予想修正の理由」の一言であったのではないかと考える。
そこには「海外事業は英国 Fulham Shore 社の連結も加味して大幅な増収となる計画です」との一文が載せられており、この増収分が今後の決算に加わってくることが宣言されている。
もちろんこれは売上の増収についての言及であり、利益については「同社の当期の利益貢献は限定的」と補足している。英国 Fulham Shore 社の貢献で加わる利益については今回の上方修正の数字に加えていないことを暗に想像させる書き方だ。
しかし、投資家心理としては「大幅な増収」が利益貢献につながると考えるのが普通だろう。今回の決算後の株価上昇にはその心理が作用し、今後の再度の上方修正期待を呼び込んだと考えられる。同社の動きには今後も注目していきたい。