「北から順番に作っていくわけではない」
一方で、「国内編だからこそ」大切にしていることもあるという。
「海外編では“今人気のもの”を差し込むこともあるのですが、国内編では、いわゆる“最旬”を追うのではなく、老舗や地元で愛されていることにフィーチャーしています。例えば『東京』では、当時流行していたタピオカについて全く載せていないんですよ。
海外だと、もしかしたらその時にしかそのガイドブックは使わないじゃないですか。でも国内編は、長く愛されるようにも作りたい、という想いがあります」
実際『日本』の巻頭・巻末では、“日本の魂”ともいえる情報を特集。『桜の名所7選』『温泉の文化』『かんたん日本史&20人の偉人』など、資料としての読み応えもある。
今後は来年2月の『北九州市』に続き、来春には『世田谷区』『東京の島々』を発売予定。場所の選定基準は何なのか。
「もちろん人口が多いとか、ニーズがありそうだな、といったリサーチもしますが、基本的には編集部が気になったエリアや地元愛の強い場所を選定しています。なので、人気観光地順や、北から順番に作っていく、という感じでもありません。埼玉や千葉は、編集者の出身地だったりするんですよ(笑)。『なぜそこ?』という部分も含めて、楽しみにしてもらえたらと思います」
『地球の歩き方』ならではの視点で情報を徹底的に掘り下げ、網羅する。その国内編は単なるガイドブックにとどまらない魅力を放っているのかもしれない。(了)
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