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順調に刊行点数を増やす『地球の歩き方』国内編ならではのこだわり 今後は「北九州市」「世田谷区」「東京の島々」も準備中

人気の『地球の歩き方』国内編

人気の『地球の歩き方』国内編

 海外ガイドブックとして有名な『地球の歩き方』の「国内編」が順調に出版点数を増やしている。2020年に『東京』で参入して以来、これまで『日本』や『埼玉』など10タイトルを発売。今月末には『四国』、来年2月には12タイトル目となる『北九州市』も発売予定だ。

「国内編」好調の背景には何があるのか。株式会社地球の歩き方・コンテンツ事業部出版編集室プロデューサーの清水裕里子氏に、国内編が誕生するまでの経緯とそのこだわりについて話を聞いた。【前後編の後編。前編から読む

コロナ禍で売り上げ前年比95%減の窮地をチャンスに

『地球の歩き方』は1979年の創刊以来、約160の国と地域のガイドブックを出版してきた。しかしコロナ禍で国際的な往来が厳しく制限され、海外旅行業界は大打撃を受ける。『地球の歩き方』も例外ではなく、「コロナ前と比べて売り上げ95%減」という窮地に陥った。

 先が見えず、編集部にも重い空気が漂う一方で、すでに東京五輪に向けて進めていた企画があった。そして五輪延期にもかかわらず、発売に踏み切ったのが『世界244の国と地域』(2020年7月発売)と『地球の歩き方』初の国内版『東京』(同年9月発売)だ。

2020年7月に発売した『世界244の国と地域』

2020年7月に発売した『世界244の国と地域』

「『世界244―』は、五輪参加国への興味や疑問に応えたいという企画意図。『東京』は競技観戦のため、東京を訪れる人々に読んでほしいという狙いでした。まさかの五輪延期でしたが、こちらの発売を1年延期すると情報も古くなるということで、発売を決断しました。

 いざ『世界244―』を発売してみると五輪とは関係なく好評をいただき、これが『世界のすごい墓』『世界のお酒図鑑』など、後に続く“旅の図鑑シリーズ”の礎となりました。ここで44年間海外ガイドブックを作ってきた知見を活かした本づくりができる、という気づきもありました。

 ただ、『東京』の発売には葛藤があったのが本音です。外出制限のあるなかで、“歩き方”というワードが批判を受けるかもしれないという不安がありましたし、国内ガイドブックとしては後発で、読者に受け入れられるかどうかも未知数。あくまでも五輪用の“一発の花火”で終わる予定でした」(「」内清水氏、以下同)

 結果的に、『東京』を深掘りした“歩き方”ならではのガイドブックはありそうでなかった独自路線として大好評。東京在住の人にも受け入れられたという。

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