コロナ禍を追い風に大いに盛り上がったキャンプブームだが、その勢いも一段落しつつあるようだ。日本オートキャンプ協会の「オートキャンプ白書2023」によると、2022年のオートキャンプ参加人口は、2021年の750万人から約13.3%減となる650万人だった。2010年の720万人から右肩上がりで推移し、2019年には860万人に到達するほどの勢いだったが、ここに来て失速している。
なかには「何度かキャンプを経験してみたものの、最近は行かなくなった」という人もいる。そんな“キャンプ離れ”した人たちに話を聞いてみた。
「屋外にわざわざ“日常”を持ち込もうとする謎」
メーカー勤務の30代女性・Aさんは、何回か友人に誘われてキャンプに参加したことがある。「ハマるかなと思ったけど、ハマらなかった」と明かす。
「友人から誘われて、これも経験だと思って何回か参加しました。友人は、“日常の煩わしさを忘れられる”とか、“夜は星がきれい”“朝が気持ちいい”などと力説するんですが、夜は防犯的なところが気になって安眠できないし、朝は朝で体が痛いまま起きる羽目になる。なかなかキャンプの醍醐味を理解できなくて、自分は向いていてないな、という結論に達しました。
日常の煩わしさから離れられるといいますが、別にキャンプじゃなくて旅行でもいいわけですし、結局スマホを見ている時点で日常から離れていないですよね」
Aさんは、さらに「屋外という非日常空間に、できるだけ日常を持ち込もうとすること」がよくわからなかったという。
「私の“キャンプ”に対するイメージとしては、サバイバルのような印象が強かったんですよ。川で魚を釣り、火を起こしてそれを焼いたりするのかなと思っていたら、必ずしもそんなことはない。みんなめちゃくちゃオシャレなキャンプグッズを揃えていて、作る料理もパスタとか、普通にお店で食べるようなものばかりなんです。ホームパーティーの屋外版というイメージなんですかね……?
すごいとは思いましたが、それを屋外でする意義がよくわからないまま。テント張りや皿洗いなど、それぞれに“仕事”が振られるのも面倒でした。ただこれは価値観の違いで、よく考えたら私はBBQも好きじゃなかったなと。屋外で、みんなでワイワイ言いながら何かをすることが好きな人たちはいいんだろうと思いますが、私は休みの日は何もしたくない派でした」(Aさん)