老後資金が潤沢でも使いどころを誤ると…
年金を手にした人の悲喜こもごもから伝わってくるのは、金額が大きいからといって、またタイミングよく受給できたからといって必ずしも幸せな老後が待っているわけではないということ。
「年金はゆとりのある暮らしをするための手段であり、目的ではありません。職業や働き方で年金額は大きく変わるため、まずは自分がもらえる金額を確認して、理想の老後に向けて年金という手段をどう活用すべきか、考えることが“天国”への第一歩です」(三原さん)
老後の資金が潤沢にあっても、使いどころを誤れば予期せぬ地獄が待ち受ける。
夫婦合わせて年金額が月40万円ほどあるGさん(75才)はかつては初孫に大いに喜んで何でも買い与えていたが、3人の子供に2人目、3人目、4人目と孫が生まれると様子が変わってきた。
「公平に扱わないと子供たちが揉めるので求められるまま援助していたら、想像以上に貯金が減りました。結果的に自分たちの老後資金が危うくなり、子供たちに迷惑をかけることに。よかれと思ってやったのに、誰も喜ばない結末になりました」(Gさん)
Gさんと同じく夫婦で月40万円の年金で暮らすHさん(68才)は、散財せず慎ましい生活を楽しんでいる。
「無駄なお金は使わず古い洋服や靴などを修理して使っています。穴のあいた靴下やセーターも縫うので夫から『貧乏性だなあ』と笑われるけど、性に合っている。お金の心配があまりない分、心穏やかに暮らせるのかもしれません」(Hさん)