米国企業は連続増配株の宝庫
ただし、業績が安定していて、配当利回りが日本株以上に高く、しかも株価の値上がりにも期待できるという“一石三鳥”を目指すなら、日本株以上にスーパー高配当株の多い米国高配当株に投資することを私はおすすめしています。
米国株の場合、毎年株主に支払う配当金を引き上げる増配を行い、その期間がすでに数十年に達している連続増配株もたくさんあります。
次の図は時価総額500億ドル(7兆円)以上、配当利回り4%超で、しかも連続9期以上の増配を続けている米国の有名企業をピックアップしたものです。やはり、世界中の誰もが知っている米国高配当株のほうが日本株以上に安心感があります。
米国高配当株ETFに投資
ただ、いかに米国を代表する高配当株といえども、あまり銘柄を絞ってしまうと、投資した企業の業績が悪化したり、業種自体が古びて人気がなくなったりすると、株価が大きく下落して、配当金も減配されるリスクがあります。
やはり、超優良な高配当株といえども、分散が大切です。たとえば、業種の違う米国の高配当株10 社程度を選び、成長投資枠1200万円を10分割して120万円ずつ投資するのもいいでしょう。
ただ、個別株投資の場合、決算発表をいちいちチェックしたり、その企業の業績や財務、株価の推移を調べたりして、自分自身で銘柄入れ替えを行う必要があります。それは、かなり手間のかかる作業です。
その点、米国は、たくさんの優良な高配当株を集めた高配当株ETFの品ぞろえが日本のETFに比べて圧倒的に充実しています。米国高配当株ETFの中には、10兆円近い巨額の純資産総額を誇るものもあり、経費率も0.0何%台と安く、投資ニーズにあわせたETFを選ぶことができます。何よりETFの基準価額がずっと右肩上がりで上昇し続けているので、高利回りの分配金をもらいながら、値上がり益にも期待できる点が大きな魅力です。
有名な高配当株ETFとしては、
・「iシェアーズ・コア米国高配当株ETF」(HDV ブラックロック 経費率0.08% 純資産総額1.4兆円 直近分配金利回り3.13% 分配金利回りは2023年8月23日現在・以下同)
モーニングスター配当フォーカス指数に連動した価格と利回りパフォーマンスを目指しています。構成銘柄は75銘柄で、エクソン・モービル、ジョンソン・エンド・ジョンソン、ベライゾン・コミュニケーションズなどの組み入れ比率が6~8%強。特定銘柄の組み入れ比率が高めです。
・「SPDRポートフォリオS&P500高配当株式ETF」(SPYD ステート・ストリートGA 経費率0.07% 純資産総額0.9兆円 直近分配金利回り5.12%)
S&P500採用銘柄のうち、配当利回りの高い上位80銘柄を組み入れたS&P500高配当指数に連動した運用を目指しています。組み入れ銘柄上位はアムジェン、シーゲイト・テクノロジーHD、アッビィなど。1社の組み入れ比率は最大1.47%程度で、銘柄分散が利いているのが特徴。分配金利回りが4%台後半から5%台と高めなところが魅力です。
・「バンガード米国高配当株式ETF」(VYM バンガード 経費率0.06% 純資産総額6.8兆円 直近分配金利回り3.05%)
FTSEハイディビデンド・イールド・インデックスに連動しています。純資産総額が約7兆円と、ほかのETFを圧倒。JPモルガン・チェース、ジョンソン・エンド・ジョンソン、プロクター・アンド・ギャンブル、エクソン・モービルなど米国の超優良企業462社に最大3%台の比率で投資しており、銘柄分散が利いています。